この記事は2020年に公開したものです。プロテインの種類ごとの差と1日の摂取量については、2026年のベイジアン・ネットワークメタアナリシス(RCT36件・1,552名)を解説したプロテインは1日何gで頭打ちになる?ホエイ・カゼイン・ソイを同じ土俵で比べた2026年のメタアナリシスで、サプリとしてのホエイは1日30〜35gあたりで頭打ちになると推定されたことをまとめています(著者はこの用量の推定を探索的なものと位置づけています)。筋力そのものの伸び方については、セット数・レップ数・種目数・強度・頻度・期間を掛け合わせた「総量」と筋力の関係を157研究から解析した筋力はどこまで伸びる?セット数・強度・頻度の用量反応を157研究から解析したメタアナリシスで扱っています。最新の根拠は、この2本もあわせてご覧ください。
本記事の対象者
プロテインの効果的な摂取量が分からない方、プロテインの身体への影響が気になる方。
プロテインを買ったものの、「どのくらい飲めば効果的なんだろう?」「飲みすぎると身体に悪いんじゃないか」とお悩みではありませんか?
本記事では、これらの不安を様々なエビデンスを元に徹底解説します。
筆者の紹介
プロテインの目的別摂取量
筋力アップ目的
筋力アップを目的とする場合は、「一日体重1kgあたり1.6 ~ 2.2g」のタンパク質を摂取するのが良いとされています。
これは2017年のMortonによるメタアナリシス1によるもので、結論をまとめると以下の通りです。
- 筋力アップには「一日体重1kgあたり1.62g」のタンパク質を摂取で十分である
- 筋力アップの効果を最大化したいなら「一日体重1kgあたり2.2g」のタンパク質を摂取した方がいいかもしれない
人それぞれ体質の違いがあるので、自分の体質に合わせて「一日体重1kgあたり1.6 ~ 2.2g」のタンパク質を摂取するようにすると良いでしょう。
例えば、体重が70kgの場合、「一日112g ~ 154g」のタンパク質を摂取する必要があります。
国民健康・栄養調査(令和6年)によると、20代の平均摂取量は男性 78.3 g、女性 62.9 g です。
| 年齢 | 男女計 | 男性 | 女性 |
|---|---|---|---|
| 総数 | 70.6 g | 76.7 g | 65.3 g |
| 1〜6歳 | 45.2 g | 47.6 g | 42.3 g |
| 7〜14歳 | 71.3 g | 75.0 g | 67.3 g |
| 15〜19歳 | 77.9 g | 90.1 g | 67.5 g |
| 20〜29歳 | 69.5 g | 78.3 g | 62.9 g |
| 30〜39歳 | 69.9 g | 78.0 g | 62.0 g |
| 40〜49歳 | 69.3 g | 76.3 g | 63.2 g |
| 50〜59歳 | 71.9 g | 78.0 g | 66.7 g |
| 60〜69歳 | 73.7 g | 79.4 g | 68.3 g |
| 70〜79歳 | 74.0 g | 79.4 g | 69.4 g |
| 80歳以上 | 68.4 g | 74.7 g | 63.8 g |
厚生労働省「令和6年 国民健康・栄養調査」より。1人1日当たり平均値。
つまり、20代男性の平均くらい摂れている人であれば、残りの「34g ~ 76g」を追加で摂取する必要があります。
プロテインには1杯あたり20g程度のタンパク質が含まれているので、1日に「2 ~ 4杯」を目安に飲むとよいでしょう。
なお2026年のベイジアン・ネットワークメタアナリシスでは、普段の食事から体重1kgあたり1.2〜1.6gのタンパク質を摂れている人であれば、サプリを1日35g以上に増やしても筋肉の発達が進むとは考えにくいと著者が述べています(プロテインは1日何gで頭打ちになる?)。
ただしこれは著者自身が探索的と位置づけている推定で、上に挙げた「2 ~ 4杯」のように食事からの不足分を埋める量とは前提が違います。著者は、普段の摂取量が少ない人ではサプリの最初の20g/日程度が不足分の穴埋めに使われるため、上乗せとして効き始める用量はもっと高い側にずれる可能性があるとも述べています。
同じ論文でも学会(ISSN・ACSM)の推奨として1.4〜2.0g/kgが引用されており、目安の数字は何を基準に置くかで変わるものとして読んでください。
ダイエット目的
ダイエット目的の場合も、高タンパク質の摂取(除脂肪体重1kgあたり2.2g)を支持する報告があります。
2008年のLeo Treyzonらの研究2によると、一日除脂肪体重1kgあたり1.1gのタンパク質を摂取したグループ(エネルギー換算 : タンパク質15% 脂肪30% 炭水化物55%)と2.2gのタンパク質を摂取したグループ(エネルギー換算 : タンパク質30% 脂肪30% 炭水化物40%)を比べると、どちらも食事制限により同じくらいの体重の減少がみられました。しかし2.2gのタンパク質を摂取したグループは1.1gのタンパク質を摂取したグループと比べて体脂肪率が著しく低くなっていたのです。
HP: 2.2gのタンパク質を摂取したグループ
SP: 1.1gのタンパク質を摂取したグループ

体重(1つ目)と体脂肪(2つ目)の減少量を比較
ちなみに参加者は、この研究では30分の有酸素運動を目標にするようアドバイスが与えられていましたが、筋トレはししていませんでした。
上記は除脂肪体重1kgあたりのタンパク質摂取量なので、体重から脂肪を除いた体重になることに注意してください。
肥満な人であれば、体重1kgあたり1.2~1.5gが目安になってくると思います。
あとは、筋力アップ目的と同様にタンパク質の不足分を計算して、プロテインで補うようにしてみてください。
減量目的
ハードなトレーニングをしているアスリートが体脂肪を減らすためにはどれくらいの摂取量が好ましいのでしょうか。
ハードなトレーニングをしているアスリートは筋肉を減らさずに体脂肪を減らす必要があるため、より多くのタンパク質を摂取(体重1kgあたり3.4g)する必要があります。
2015年のJose Antonioによる報告3によると、ハードな筋トレをしている48人を対象とした実験では、一日体重1kgあたり2.3gを摂取したグループと3.4gを摂取したグループで比較したところ、どちらも同程度の筋肉量の増加にも関わらず、3.4g摂取したグループでは、体重・体脂肪率が著しく減少していたことが報告されています。
NP: 2.3gのタンパク質を摂取したグループ
HP: 3.4gのタンパク質を摂取したグループ

除脂肪体重(1つ目)と体脂肪率(2つ目)の比較
プロテインを飲むタイミング
筋力アップ目的
筋力アップ目的の場合、トレーニングをする日であれば、起床後(20g)・トレーニング前(40g)・トレーニング後(40g)・就寝前(20g)のように、トレーニング前後に多めに配分する組み方が考えられます(以下の研究を踏まえた本記事の例です)。
2006年の研究4では、トレーニングの前後にプロテインを摂取した方が朝食と夕食事にプロテインを摂取したグループより筋力アップに効果的だったと発表されています。
また、筋トレ直後のゴールデンタイムにおける20gと40gのタンパク質の摂取をしたグループを比較した研究5では、40gのタンパク質を摂取したグループの方が20gのグループよりも1015%程筋タンパク質の合成が高まったという結果が出ています。25gで十分な摂取量とされていた以前の研究では脚のみのトレーニングが対象とされており、全身トレーニングをした場合は40gまで摂取量を増やすことでさらに筋タンパク質合成量を増やすことができる可能性を示唆しています。
20g
また、就寝中はプロテインを摂取することができないため、就寝前と起床後に飲む配分も考えられます。
1食あたりの量については、若年者で20〜25g、高齢者で約40gの良質なタンパク質で筋タンパク質合成が頭打ちになるという急性研究の知見があり、冒頭で挙げた「サプリとしてのホエイは1日30〜35gで頭打ち」という推定と整合すると2026年のメタアナリシスの著者は解釈しています(プロテインは1日何gで頭打ちになる?)。
上に挙げた40gという量は全身トレーニング後の急性反応を見た研究5のもので、慢性の用量反応から推定された頭打ちとは測っている対象が違います。なお1日30〜35gの推定は著者自身が探索的と位置づけており、普段の食事から摂っているタンパク質量は考慮されていません。
以上を踏まえると、トレーニングする日であれば、起床後(20g)・トレーニング前(40g)・トレーニング後(40g)・就寝前(20g)で120gのタンパク質を摂取することが可能です。
これは上に挙げた研究を組み合わせた配分の例で、プロテインだけで1日120gを摂ることを目安として示したものではありません。サプリの量として見ると、2026年のメタアナリシスが推定した1日30〜35gの頭打ちを大きく上回る水準にあたります。
一方で、トレーニングをしない日は、20gのタンパク質を3時間おきに摂取するように、適量を適度な間隔で分けて摂る方法が報告されています。
2013年の研究6で、40gのタンパク質を6時間毎に2回摂取したグループ、20gのタンパク質を3時間毎に4回摂取したグループ、10gのタンパク質を1.5時間毎に12回摂取したグループに分けて筋タンパク質の合成量を比べる実験が行われました。
これは、筋トレ後の12時間の筋タンパク質の合成量を計測したものですが、結果は、20gのタンパク質を3時間毎に4回摂取したグループで筋タンパク質の合成量が最大化されました。
Bolus: 40gのタンパク質を6時間毎に2回摂取したグループ
Intermediate: 20gのタンパク質を3時間毎に4回摂取したグループ
Pulse: 10gのタンパク質を1.5時間毎に12回摂取したグループ
この研究から言えるのは、筋肉の回復期間では適量を適度な間隔で摂取したグループで筋タンパク質の合成量が最も高かった、というところまでです。
ダイエット目的
また、ダイエットを目的とする場合は、夕食の45分前までに摂取することで食欲が抑制されると報告されています。
以下の記事で詳しく解説しているので、確認してみてください。
痩せたい人必見!ダイエットでホエイプロテインを飲むべき理由!
プロテインを飲み過ぎたら身体に悪い?
腎機能に疾患がない人については、問題を示す一貫した結果は報告されていません。
2000年の研究7で、腎臓に疾患を持っていないアスリートが、体重1kgあたり1.28g ~ 2.8gのタンパク質を1週間摂取したところ、腎機能の指標に差は示されなかったことが報告されています。
2026年に腎臓病のない成人を対象としたRCT22件を統合したメタアナリシスでも、eGFR(腎臓のろ過量の推定値)は上昇が示された一方で血清クレアチニンには差が示されず、腎障害を示す一貫した生化学的所見は見当たらなかったと報告されています(プロテインで腎臓は悪くなる?)。
ただし著者は、これを「腎臓に悪くない」と証明されたという意味ではないとも明記しています。
一方で、タンパク質を摂取する食材や腎臓に疾患を持っている人に関しては、問題が報告されています。
プロテインの摂りすぎは体に悪いの?
注釈・出典
- A systematic review, meta-analysis and meta-regression of the effect of protein supplementation on resistance training-induced gains in muscle mass and strength in healthy adults
- A controlled trial of protein enrichment of meal replacements for weight reduction with retention of lean body mass
- A high protein diet (3.4 g/kg/d) combined with a heavy resistance training program improves body composition in healthy trained men and women – a follow-up investigation
- Effects of Supplement Timing and Resistance Exercise on Skeletal Muscle Hypertrophy
- The response of muscle protein synthesis following whole‐body resistance exercise is greater following 40 g than 20 g of ingested whey protein
- Timing and distribution of protein ingestion during prolonged recovery from resistance exercise alters myofibrillar protein synthesis
- Do Regular High Protein Diets Have Potential Health Risks on Kidney Function in Athletes?