本記事の対象者

ソイ(大豆)プロテインを飲んでいる方。動物性から植物性に替えようか迷っている方。
「植物性のプロテインは動物性と違うのか」は、プロテインを選ぶときによく出てくる疑問です。短期間の試験を集めた研究はいくつもありますが、著者は6か月以上の試験に絞ってこの比較を統合したのは、自分たちの知る限りこの研究が初めてだと述べています。
2026年に発表されたこのメタアナリシス1は、6か月以上続いたRCTだけを集めて、植物性プロテインと動物性プロテインを直接比べたものです。結論から言うと、除脂肪量(脂肪を除いた体重。LBM)・筋力・身体機能・血中脂質・血圧・血糖のいずれについても、2つのあいだに統計的な差は示されませんでした。
ただし、これは「差がない」ことが証明されたという意味ではありません。試験ごとの結果のばらつきが非常に大きく、推定の幅も広いためです。加えて、ここでいう植物性は18件中17件がソイ、動物性はすべて乳由来で、参加者の多くは閉経前後・閉経後の女性、運動を組み合わせた試験は3件だけという中身です。本記事では、その前提も含めて順に見ていきます。

筆者の紹介

筋トレ好きのエンジニアです。技術評論社『Software Design』で「エンジニアのためのやる気UPエクササイズ」を2年間(全26回)連載し、Xのスペースで毎晩21時から20分の家トレを配信する「みんトレ」を6年ほど続けています。

どんな研究か

この研究は、植物性プロテインのサプリメントと動物性プロテインのサプリメントを直接比べたRCTを集めて統合したものです。
研究の条件をまとめると以下の通りです。

  • 対象は18歳以上の成人
  • 介入群は植物性プロテイン、対照群は動物性プロテイン。どちらもタンパク質を濃縮または分離したサプリメントで、運動を組み合わせているかどうかは問いません
  • 介入期間が6か月以上の試験のみ。これがこの研究の特徴です
  • 統合されたのはRCT 18件・1,893名。1998〜2021年に発表されたもので、すべて並行群間の二重盲検試験です。1試験あたりの人数は10〜158名、期間は6〜31か月(9か月未満が10件、9か月以上が8件)
  • 参加者の年齢は23〜74歳、BMIは21.0〜33.3kg/m²。60歳未満を対象にした試験が9件、60歳以上が9件
  • 14件は女性のみを対象(閉経前後または閉経後の女性)で、男女を含むのは4件
  • 参加者は健常者に限りません。低除脂肪量の高齢者・血液透析を受けている患者・体重維持中の人・虚弱な高齢者を対象にした試験が4件あり、ほかにも前糖尿病や高コレステロール血症の閉経後女性を対象にした試験が含まれます
  • 植物性の内訳はソイが17件、ライスが1件。動物性の内訳は牛乳タンパクが9件、ホエイが7件、カゼインが1件、カゼインと脱脂乳が1件
  • 1日の摂取量は8〜45g。13件が30g未満、残りの5件が40g以上
  • 運動を組み合わせた試験は3件だけ
  • 見ている項目は、体組成(除脂肪量・脂肪量・体重)、筋力(上半身は握力とベンチプレス、下半身は膝伸展とスクワット)、身体機能(歩行速度・立ち座りテスト・TUG・SPPB)、血中脂質や血圧・血糖といった生活習慣病のリスク指標(総コレステロール・LDL・HDL・中性脂肪・空腹時血糖・空腹時インスリン・血圧・HOMA-IR)。プロトコルはPROSPERO(CRD42024604240)に事前登録

なお、1,893名というのはレビュー全体の合計です。実際に統合できた人数は指標ごとに85〜878名と幅があります。

前回紹介したプロテインの種類と用量のネットワークメタアナリシスが「プロテイン対プラセボ」を軸にしていたのに対し、この研究は植物性と動物性を直接ぶつけた試験だけを集めています。プラセボ群は入っていないので、「プロテインを飲むと増えるか」ではなく「どちらを飲んでも同じか」を見た研究です。

この記事の数字の読み方

この先の表と図を読むために、使われている用語をまとめておきます。

  • RCT(ランダム化比較試験)は、参加者をくじ引きのように分けて条件を比べる試験です。メタアナリシスは、同じテーマの試験を集めて結果を統計的に統合する手法です。
  • SMDは「効果の大きさ」を、単位の違う指標でも比べられるようにそろえた数値です。0が「差なし」で、0.2前後が小さい差、0.5前後が中くらいの差、0.8前後が大きい差の慣習的な目安です。この記事では、プラスなら植物性の群のほうが値が高かったことを表します。
  • 95%信頼区間(95%CI)は推定の不確かさの幅です。この幅が0をまたいでいる場合は「差があるとは言えない」と読みます。
  • I²は試験ごとの結果のばらつきの大きさです。0%ならどの試験もおおむね同じ方向の結果で、大きいほど試験によって結果が違います。
  • 予測区間は「次に同じような試験を1本行ったら、結果がどのあたりに着地しそうか」の範囲です。平均の不確かさを表す信頼区間より広くなります。
  • 感度分析は、試験を1件ずつ外して統合し直し、結論が特定の試験に引きずられていないかを調べる手順です。
  • GRADEは、その結果をどこまで信頼できるかを「高・中程度・低・非常に低」の4段階で評価する枠組みです。

体組成:3つの指標とも差は示されなかった

体組成の結果は以下のように報告されています。プラスは植物性の群のほうが値が高かったことを表します。

指標 統合された比較 SMD(95%CI) 予測区間 I²
除脂肪量 8つの比較(7試験・365名) 0.26(−0.68〜1.21) −3.05〜3.58 92.3%
脂肪量 7つの比較(6試験・303名) 0.16(−0.58〜0.90) −2.30〜2.63 86.9%
体重 9つの比較(8試験・685名) 0.37(−0.33〜1.07) −2.12〜2.86 88.9%
除脂肪量・脂肪量・体重について、植物性プロテインと動物性プロテインの差を示したフォレストプロット。3指標とも信頼区間が0をまたいでいる
図1: 体組成の3指標における植物性と動物性の差。3指標とも信頼区間が0をまたいでおり、差があるとは言えません。薄い帯で示した予測区間はさらに広く、次に試験を1本行ったときにどちら側へ出るかは絞り込めない状態です。出典: Yimam MA, et al. Front Nutr. 2026。報告されている数値から作成したもので、原図の転載ではありません

3つとも信頼区間が0をまたいでおり、差があるとは言えません。あわせて目を引くのはI²が86〜92%という大きさで、試験によって結果の方向がかなり違っていることを示しています。

感度分析では、除脂肪量の統合値はMoellerら(2003年)の試験(閉経前後の健康な女性を対象に、ソイ40gとホエイ40gを6か月比べたもの)に強く引きずられていました。この試験を外すと統合値は−0.18(95%CI −0.60〜0.24)へ動き、ばらつきもI² 66.4%まで下がります。1件外すだけで点推定の向きが植物性側から動物性側へ入れ替わるほど不安定だということです。ただし、区間が0をまたぐという点はどちらでも変わりません。脂肪量でも同じ試験を外すとばらつきが20ポイント下がり、結論は変わらなかったと報告されています。

また、除脂肪量と体重については小規模な試験ほど結果が大きく出ている傾向(出版バイアスの疑いと整合する所見)が検出されており、それを補正する手法で計算し直しても、差は示されませんでした。
体組成の3指標はいずれも、エビデンスの確実性が「低」と評価されています。

筋力と身体機能:こちらも差は示されず、推定の幅はさらに広い

筋力と身体機能の結果は以下の通りです。プラスは植物性の群のほうが値が高かったことを表します。指標によって「良い方向」が違う点に注意してください。筋力・歩行速度・SPPBは値が高いほど良く、TUG(椅子から立って3m歩いて戻るまでの時間)は値が低いほど速いことを意味します。

指標 統合された比較 SMD(95%CI) I²
上半身の筋力 4つの比較(312名) −0.88(−1.99〜0.22) 93.5%
下半身の筋力 3つの比較(221名) 2.54(−1.07〜6.14) 98.6%
歩行速度 3つの比較(137名) 0.00(−0.34〜0.34) 0.0%
立ち座りテスト 2つの比較(85名) 0.75(−1.01〜2.52) 90.5%
立って3m往復の時間(TUG) 3つの比較(232名) −0.74(−1.78〜0.30) 91.8%
身体機能の総合点(SPPB) 3つの比較(258名) −0.22(−0.67〜0.24) 63.1%

この表に試験数がないのは、原文がこれらの指標について比較の数と人数だけを報告しているためです。

上半身・下半身の筋力と、歩行速度・TUG・SPPBについて、植物性プロテインと動物性プロテインの差を示したフォレストプロット。5指標とも信頼区間が0をまたいでいる
図2: 筋力と身体機能における植物性と動物性の差。いずれの指標も信頼区間が0をまたいでいます。下半身の筋力は区間の幅が−1.07〜6.14と極端に広く、方向を読み取れる状態ではありません。出典: Yimam MA, et al. Front Nutr. 2026。報告されている数値から作成したもので、原図の転載ではありません

6つの指標のどれについても、差は示されていません。
下半身の筋力のSMD 2.54という大きな数値は、Vupadhyayulaら(2009年)の試験(健康な閉経後女性を対象に、ソイ25gと牛乳タンパク25gを24か月比べたもの)の膝伸展の結果が突出していることによるものです。この試験を外すと統合値は0.64(95%CI −0.21〜1.49)まで下がり、ばらつきもI² 60.8%へ落ち着きます。区間が0をまたぐ点は変わりません。

歩行速度だけはI²が0.0%で、3つの試験の結果が食い違っていません。統合値も0に近く、区間の幅も他の指標よりはっきり狭くなっています。

立ち座りテストは2つの比較しかありません。感度分析でLiら(2021年)の試験(低除脂肪量の高齢者を対象に、ソイ9gとホエイ8gを6か月比べたもの)を外すと1.64(95%CI 0.70〜2.59)となり区間が0を外れますが、そのとき残っているのは1試験の結果です。統合の結論として扱えるものではありません。

エビデンスの確実性は、筋力(上半身・下半身)・歩行速度・TUG・SPPBの5指標が「非常に低」で、ばらつきの大きさ・推定の不正確さ・出版バイアスの疑いが理由に挙げられています。立ち座りテストは「低」で、理由は推定の不正確さと出版バイアスの疑いの2つです。

血中脂質・血圧・血糖:全体では差が示されなかった

生活習慣病のリスク指標については、以下のように報告されています。マイナスは植物性の群のほうが値が低かったことを表します。HOMA-IRは、空腹時の血糖とインスリンから計算する、インスリンの効きにくさの指標です。

指標 統合された比較 SMD(95%CI) I²
総コレステロール 7試験(878名) −0.38(−0.88〜0.13) 85.8%
LDL 7試験(878名) −0.34(−0.87〜0.19) 86.3%
HDL 7試験(878名) −0.08(−0.69〜0.52) 94.0%
中性脂肪 7試験(878名) −0.15(−0.41〜0.12) 69.7%
収縮期血圧 4試験 −0.13(−0.40〜0.13) 63.2%
拡張期血圧 4試験 −0.10(−0.30〜0.10) 31.8%
空腹時血糖 3試験 0.24(−0.32〜0.79) 88.8%
空腹時インスリン 2試験 0.12(−0.16〜0.40) 0.0%
HOMA-IR 2試験 0.18(−0.10〜0.46) 0.0%

9つの指標すべてで、区間が0をまたいでいます。

ただし、いくつかの区分では0を外れた数値も報告されています。

  • 中性脂肪(年齢の区分):60歳以上を対象にした3試験の区分では−0.39(95%CI −0.65〜−0.13)、60歳未満の4試験の区分では0.11(95%CI −0.14〜0.36)で、区分間の差の検定はp = 0.007でした
  • 中性脂肪(期間の区分):介入が9か月以上の3試験の区分では−0.26(95%CI −0.50〜−0.01)でしたが、区分間の差の検定はp = 0.54です
  • 血圧:収縮期血圧は、感度分析で1試験(Kreijkamp-Kaspersら 2005年)を外すと−0.24(95%CI −0.42〜−0.07)となり区間が0を外れます。拡張期血圧でも同じ試験を外すと−0.20(95%CI −0.37〜−0.03)でした

このなかで区分間の差の検定で差が示されたのは、中性脂肪の年齢の区分だけです。著者はこれらについて「確かなプラスの効果として提示すべきではない」と明記しています。中性脂肪の数値は60歳以上の区分でのみ出たものであり、血圧の数値は主解析ではなく感度分析から出てきたもので、いずれも探索的なものであって結論ではないという位置づけです。
確実性の評価は、総コレステロール・LDL・中性脂肪・空腹時血糖が「低」、HDLと血圧が「中程度」でした。

この研究の限界

著者が挙げている限界と、本記事が数値を扱ううえで断っておくべき点を挙げます。

1. 植物性はほぼソイ、動物性はすべて乳由来
18件のうち17件がソイで、ライスが1件です。エンドウ(ピー)プロテインを6か月以上使った試験は含まれていません。この結果を「植物性プロテイン全般」に広げて読むことはできません。著者は、エンドウ由来のタンパク質もホエイと同程度に筋肉へ取り込まれるとした研究を挙げたうえで、長期の試験が今後必要だと述べています。

2. 参加者が偏っている(性別・健康状態・運動の有無)
14件が女性のみを対象としており、その多くが閉経前後または閉経後の女性です。健常者だけでなく、血液透析を受けている患者や虚弱な高齢者、前糖尿病や高コレステロール血症の人を対象にした試験も混ざっています。運動を組み合わせた試験は3件だけで、レジスタンストレーニングをしている人を主な対象にした研究ではありません。トレーニングをしている読者に、そのまま当てはめられる結果ではないということです。

3. 普段の食事ですでにタンパク質が足りていた
食事の記録がある試験では、参加者の普段のタンパク質摂取量は平均で約1.27g/kg/日(範囲0.89〜1.85g/kg/日)でした。著者は、運動の刺激が乏しく、普段の食事でタンパク質が足りている状況では、サプリを足しても体組成が大きく動くとは考えにくいと述べています。普段の摂取量が少ない人での比較は、この研究では確かめられていません。

4. ばらつきが大きく、推定の幅が広い
体組成・筋力の指標はI²が86〜98%あります。体組成の3指標では予測区間が0を大きくまたいでおり、筋力・身体機能でも信頼区間の幅が広いままです。「差が示されなかった」ことと「2つが同等だと示された」ことは別です。著者自身も、高いばらつきと広い予測区間があるため、確からしさを高めるにはさらに長期の試験が必要だと結論に書いています。

5. バイアスのリスク
バイアスのリスク(研究デザイン上の偏りやすさ)の判定は、低リスク8件・懸念あり8件・高リスク2件でした。

6. (本記事の断り)本文とフォレストプロットで数値が食い違う箇所がある
原文には、本文中の記述と図・補足資料に載っている数値が一致しない箇所があります。本記事が扱った数値の範囲でも、除脂肪量の信頼区間・総コレステロールの信頼区間・体重のI²の少なくとも3か所で食い違いました。本記事では、フォレストプロットとGRADEの評価表に載っている値を採っています。

前回の研究と食い違っているのか

前回紹介したネットワークメタアナリシスでは、除脂肪量の増加でプラセボとの差が示されたのは乳由来(ホエイ・牛乳・カゼイン)だけで、ソイやエンドウは区間が0を含んでいました。今回の研究は「差は示されなかった」なので、一見すると逆の話に見えます。
ただし、この2つは比べているものも対象者も違います。

  • 比較の相手:前回はプロテイン対プラセボ(そのうえで種類の順位を推定)、今回は植物性対動物性の直接比較
  • 期間:前回は6〜24週(中央値12週)、今回は6〜31か月
  • 対象者と運動:前回は週2回以上の監督下のレジスタンストレーニングを併せて行っている試験のみ、今回は運動を伴う試験が3件だけで、参加者の多くは閉経後の女性
  • 植物性の中身:前回はソイ・エンドウ・ライスが別々のノード、今回はほぼソイ

前回の研究の著者も「植物性が効かないという意味ではない」と述べ、総タンパク質量を揃えて比べるほど差は縮まる傾向があると整理していました。今回の研究の著者も、1日に十分な量のタンパク質が摂れているかぎり、由来による反応の違いは小さいと考えられると述べています。2つの研究は、この点では同じ方向を向いています。

実践的にどう読むか

この研究から言えるのはここまでです。

  • 主解析では、ソイと乳由来のプロテインとのあいだで差が示された指標はありませんでした。体組成・筋力・身体機能・血中脂質・血圧・血糖のいずれもです(区分を切った探索的な解析については、上に挙げた中性脂肪と血圧の数値のとおりです)
  • ただし「差が示されなかった」は「同等だと示された」ではありません。試験ごとのばらつきが大きく、推定の幅も広いままです
  • 参加者の多くは閉経後の女性で、運動を組み合わせた試験は3件だけです。トレーニングをしている人に当てはめるには根拠が足りません
  • 植物性はほぼソイの結果です。ライスは1件、エンドウは0件で、これらを6か月以上使った長期の比較はまだありません
  • 参加者の普段のタンパク質摂取量は平均で約1.27g/kg/日でした。普段の食事で足りている人での比較だという前提は押さえておく必要があります

味や価格、乳製品でお腹が緩くなるかどうかといった続けやすさで選ぶ判断を、この研究が否定する結果にはなっていません。ただし、それは差がないことが示されたからではなく、上に挙げた前提(ほぼソイ・参加者の多くは閉経後の女性・運動併用は3件)の中で差が示されなかった、というところまでです。

1日の総摂取量の目安についてはプロテインの効果的な飲み方・摂取量・タイミングを徹底解説。で、種類ごとの性質についてはホエイプロテインって何?ソイ・カゼインとの違いは?で扱っています。あわせてご覧ください。

出典



注釈・出典

  1. Long-term effects of plant vs. animal protein supplementation on body composition, muscle strength, physical performance, and cardiometabolic risk factors in adults: a systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials